週が明けて本当に、乃愛は普通科を去り、通信科へと転科したらしい。


こんな時期だからこそ、色々な噂や憶測が飛び交っていたが、真実なんてあたし達だけが知っていれば良い。



「ねぇ、乃愛がエンコー見つかって退学になったって話、マジ?」


「えー、あたしは男から恨まれまくって、この街にいられなくなったって聞いたけど。」


嘲笑の混じるクラスメイトの言葉。


あたしはうんざりしながらも黙っていたが、それにキレたのは梢だった。



「うるさいんだよ!」


声を荒げ、彼女は目前の女の胸ぐらを掴む。


こんなんでも中学の頃は相当悪い連中と付き合っていたらしい梢だ、その迫力にみんなは顔を引き攣らせる。



「大体あんたら、陰口しか言えないわけ?
乃愛のこと悪く言ってんじゃねぇよ、カレシすらいないからってひがんでんのかよ!」


「…なっ…」


「あの子はねぇ、馬鹿みたいなあんたらよりよっぽど大人なんだよ!
自分で決めたこと貫くために頑張ってんだから、文句があるならあたしに言え!」


梢はあの後、乃愛ともう一度ちゃんと話をし、最後はあたしと同じように応援すると言って納得したらしい。


だからこそ、まるで自分のことのように、ここまで怒っているのだろうけど。



「梢、もう良いから。」


「でも!」


「今の時期にアンタまで問題なんて起こしてちゃマズいでしょ。」


あたしの言葉に彼女は、渋々だがその手を離す。


クラス中は騒然とし、元々見た目からして浮いているあたし達には、余計に視線が冷たくなった気がするけれど。



「こんな連中とトラブってるなんて、それこそ時間の無駄じゃない。」