コンビニから少し離れた路地裏で足を止めたタカは、息を切らすあたしを見て、大爆笑をしてくれる。


久しぶりだね、なんて言えるほどの余力はなくて、開いた口が塞がらない。


だからあんぐりと間抜けな顔をしていると、



「ツツモタセってやつ?」


そう言って、彼は男から奪った金をあたしに手渡してくれた。


が、さすがにそれは犯罪だ。



「意味わかんないし、ありえないんだけど!
てかアンタ、マジで一体何なの?!」


もう二度と会うことなんてないと思っていたのに。


なのに突然出てきて、男を殴り飛ばして、金を奪って、またあたしを拉致った上に、ツツモタセだとか言いやがる。


だから声を荒げた時、



「喚くなよ。」


塞ぐように奪われた唇。


僅かな抵抗は意味をなさず、逆に壁へと押し当てられる。



「本気で嫌なら叫んでみろよ。」


その、あまりにも綺麗な瞳に目を奪われて、だから声を上げることすら忘れていた。


タカはクッと喉を鳴らす。



「てか、何で今更固まってんだよ。」


「うるさいよ、馬鹿。」


口を尖らせるあたしと、楽しそうなご様子のタカ。


もう、過ぎてしまったことは置いといて、とりあえず落ち着かなきゃやってられないじゃない。