「なぁ、これからどうしようか。」


食事を終えてコンビニでジュースなんかを買った後、彼は聞いてきた。


別にどこに行ったって同じだろう、と思うが、それを言葉にするほどの馬鹿ではない。


コンビニの、看板の切れかけた電気がチカチカと不規則な点滅を繰り返している様を見つめながら、もう帰ろうかとも思ってしまうが。



「ヤスに任せるよ。」


男の手口なんてわかっている。


どうせ上手いこと言って体の関係に持ち込もうとするだけで、胡散臭い笑顔は滑稽だ。


まぁ、それに騙されてあげるあたしほどお手軽な女もいないだろうけど。



「じゃあ、うち近いしさ、おいでよ。」


良いよ、なんて言って、車に乗り込もうとした瞬間だった。



「おいおい、誰の女に手出してるかわかってんのか?」


背中越しに聞こえた声に振り返った。


と、同時に、あたしの真横に立つ彼が、ガッ、と響いた鈍い音と共に地面に倒れ込む。


それは一瞬の出来事だった。



「殺されたくなきゃ、財布出せ。」


タカが不敵な笑みを浮かべて佇んでいた。



「…何、で…」


どうしてここにいるのかとか、何をやっているのかとか、まるで思考が及ばない。


そんなあたしは丸っきり無視をされ、彼がもう一度殴りかかろうとした時、



「悪かったよ、やめてくれ!」


男が震える手で差し出した財布から札を奪い取ったタカは、あたしの腕を引いた。


相変わらず、夜の闇の獣のような人だと思った。