高校一年の頃くらいまでは、普通に彼氏を作っていたし、あたしだってこんな風ではなかった。


けれど、高校二年に上がったある日のこと、



「出会い系って結構楽しいよ。」


梢が話を持ち掛けてきた。


正直、悲惨な事件に巻き込まれるニュースは山ほど聞いていたので、初めは怪訝な顔をしたのだけれど、



「みんなやってるし、全然危なくないから!」


そんな言葉に背中を押された。


梢の言葉通り、初めてやった出会い系は驚くほどお手軽で、おまけに群がってくる男達の数には驚かされた。


まさに人生バラ色とでも言えば良いか、すぐにあたしはそれと虜になってしまったのだ。


あの日から、あたしはこんな日々に執着していた。


常に男をキープして、お腹が空けば誰かを呼ぶし、駅まで歩くのがダルイというだけの理由で、アシにしたりもしている。


本当に、生きてるのが不思議だとよく言われるけれど。


でも、この駆け引きを繰り返す遊びすら、あたしにとっては恋愛ゲーム以上ではない。


けれどもう、普通の恋をする自信なんかないのだ。



「どの男を見ても同じようにしか見えなくなるってゆーか。」


梢も言っていたけれど。


まさにその言葉通り、あたし達は麻痺していた。


男のご機嫌を取ってやって、いつも頭で考えるより先に笑顔を作ってしまう。


もう、偽りの自分しかわからない。