「乗ってよ、飯でも行こう。」


お邪魔しまーす、なんて言って、あたしは助手席へと乗り込んだ。


すぐに車は走り出す。



「つか、ホントにカレシいないの?」


「どうして?」


「だって、リサちゃんくらいならいくらでも、って感じじゃん。」


「そんなことないって、あたし全然だよ。
ヤスのが絶対モテそうだし。」


お決まりの会話だけど、チヤホヤされればそれなりに嬉しいものだ。


誰かと付き合ってダラダラと関係を続けるよりずっと、初対面のトキメキという刺激が欲しかったから。


だってつまらない男と時間を無駄に過ごすだなんて、ナンセンスじゃない。



「でも俺、マジでリサちゃんに会えてラッキー、みたいな。」


「ははっ、こんなんでごめんねぇ。」


「いや、褒めてんだって。」


知ってるよ、そんなこと。


別に自慢じゃないけど、顔は悪くないし、男ウケは良い方だと自分でも思う。


それでも初めは楽しくて仕方がなかったこんな遊びも、慣れてしまったのか物足りなさを感じていた。


どうせこの男との関係だって、一ヶ月と経たずに終わるはずだ。


なのに毎度のように繰り返すあたしは、きっともう一生こんなままなんじゃないのかと思ってしまう。


とにかく家に帰りたくなくて、けれど寂しさを埋めたかった。


それが最初だった。