タカは肩をすくめているけれど、でも思考が及ばない。


まさか結香さんが彼らの知り合いだったなんて、どうしてこう、世間は狭いものなのだろう。



「リサ、アンタ何やってんのさ?」


彼女は目を丸くしてあたしとタカを見比べた。



「てか、タカさんのカノジョって、リサだったわけ?!」


「おいおい、何でお前らまで知り合いなんだよ?」


と、言った道明さんは、あたし達の隣のテーブルへと腰を降ろした。


ここは店の一番奥で、ふたり掛けの席が並んでおり、通称“カップルシート”なんて呼ばれているのだが。



「ちょっとちょっと、これってどういうこと?」


よくよく話を聞いてみれば、道明さんは結香さんのお客だそうだ。


確かに彼女は中学卒業と同時に年を誤魔化してキャバ嬢をやっていたので、彼らと知り合うことは不思議ではないけれど。


どうやら今日は、暇だったのでふたりで食事に来たらしい。



「リサ、よくこんなガラの悪い連中と仲良くやってるよね。
この人たちってホントただの悪人なのに!」


結香さんは何故か大爆笑だった。


が、男ふたりはその言葉に口元を引き攣らせている。


サバけている彼女はどこか男っぽくもあって、嫌味のない美人という感じ。



「まぁ、何かよくわかんねぇけど、みんな顔馴染みってことで、乾杯でもしようぜ。」


道明さんが言った。


タカは急に不機嫌そうになった様子で頬杖をつくが、ビールが運ばれて来て、あたし達は乾杯をし直した。