授業中だからってお構いなしに携帯をいじってるあたしは、きっと依存の域に達しているのだろうけど。


でも、煙草と携帯がないと死んでしまうんじゃないかと、本気で思う。


こんな世界なんか消えてしまえと思う一方で、誰かと繋がっていなければ自分の存在を確かめられないなんてね。


暇潰しに出会い系を見ることもまた、あたしの日常に溶け込んでいた。


そんな風に言えば驚く大人は多いけど、でも周りはみんなハマってるし、実際メールの相手と会って、遊んだり、付き合ったりもする。


一番有名な巨大掲示板は一分毎に更新されるし、直アドなので登録することもない。


上手く遊べば危険なんてひとつもないから、だからあたしはいつもこの、“マーメイド”というサイトばかりチェックしている。




【21歳、お兄系で車あるよ!】

【Y市住み、イケメンって言われる!】

【M高3年、タメの子連絡して!】




氾濫する、似たような文章。


もうすっかり目が肥えてしまったので、書き方ひとつで相手のことが大体わかる。


まぁ、無意味な経験値なのだろうけど。




【円しよ!】

【2込み】




ちなみにこれは、援助交際のこと。


2万円でホテル代込みだなんて、そんな安い話に興味はない。


一通りチェックしていると、眠気を誘う教師の声色にいざなわれ、あたしは机に突っ伏した。


何をやっていても満足出来なくて、けれど自分のことが一番わからないんだ。


いっそ死ねたならと、いつも思う。