みんな同じ制服で、同じ顔して笑ってる連中の輪をくぐり、適当に挨拶を交わしてから、何とかギリギリで教室に入った。


きっとあたしはこの学校でも目立つ集団に属しているのだろうけど、でも別に興味なんてものはない。



「リサ、遅かったじゃん。」


「まぁね、でもサボらなかったあたしは偉いよ。」


梢が笑う。


化粧道具しか入っていないバッグを漁り、手鏡を取り出して髪の毛を直していると、まだ彼女はあたしの隣を陣取っていた。



「んで、乃愛は?」


「サボるってメール来たよ。」


「マジ?
まぁ、乃愛のことだから、どうせまた朝帰りだろうけど。」


ゲラゲラと下品に笑う梢。


明るく染めた髪を巻き、短くしたスカートと、適当なアクセ、そしてダボダボのルーズソックス。


派手な格好をしていると、自然と似たような子と一緒にいることが増えて、気付けば自分もその中の一員になっていることが多い。


まぁ、あたしの人間関係なんて、いつもそんな感じなのだけれど。



「ねぇ、そういや数学って確か、小テストじゃなかった?」


「勉強しないアンタからそんな言葉を聞くとは。」


「ちょっとリサ、それヒドイから!」


本当にくだらない。


作った顔で笑ってるあたしは滑稽で、けれどはみ出し者でいられるほどの気力はない。


望むことを諦めてしまった、愚かなあたし。