タカの部屋に戻り、落ち着こうと一服していた時のこと、玄関からチャイムの音がした。


扉を開けてみれば、そこに立つ彼は「よう!」と買い物袋片手に、歯を見せて笑う。



「道明さん、どうしたの?」


「リサちゃんが臥せってるって聞いて、これお見舞い。」


手渡されたそれを覗き込んでみれば、中にはおにぎりやジュース、お菓子やデザート、煙草に週刊誌、そして何故かコンドームの箱までも。



「ちょっと、これ何よ。」


「それイボイボすげぇって聞いたから。」


相変わらずのふざけた男だ。


道明さんは何が楽しいのか、やっぱり笑っていた。



「いらないわよ、こんなもん。」


「おいおい、避妊は大事だぞ?」


そういう問題じゃない。


肩をすくめるあたしを無視で、彼は勝手知ったるように部屋の中へと入り、ソファーでうずくまるシロにじゃれる。



「タカならまだ帰って来ないと思うけど。」


「あぁ、知ってるよ。」


そして煙草を咥えた道明さんは、



「ちょっとリサちゃんに話があって。」


「…話?」


「タカのことだよ。」


タカのこと?


頭の中で反復させてみたけれど、でも首を傾げた。



「何よ、どうしたの?」