「お祈りしても降らないと思ってたのにさ…。降っちゃうんだもん!!」


その言葉はますます俺を沈ませた。

だけど、次の言葉で俺と空澄の視線が絡んだ。


「怖かったんだ‥‥。」

『怖かった?』


絡んだ視線を外しながら空澄が苦笑いした。


「ももちゃんの事好きって気づいてから考えてたんだよ。ももちゃんの気持ち。」

『俺の??』

「うん。私の事どう思ってるかなって…だから、昨日は嬉しかったのに朝起きると怖くなった。」


そう話す空澄は今にも泣き出しそうな顔をしていて、俺は繋いだ手を少し強く握り返した。


「ももちゃんの言う“好き”が私の“好き”と違ったらって…私はそれが恋だと気づかなかった。ももちゃんはそれが恋だと勘違いしてるだけじゃないかと思って怖かった。」


ゆっくり、ゆっくり、自分の気持ちを紡ぐ空澄。その言葉を俺はただ黙って聞いていた。


「だけど、私を探してコートも着ないで飛び出してきたももちゃんを見て思ったの。あぁ、やっぱり伝えてよかったって。」


さっきまで泣きそうだった空澄は“手紙に気づいてくれたんだね。”と、いつのまにか笑顔になっていた。


「同じ気持ちなんだなぁって!そう、思ったの。」


俺はただ笑顔を返した。