コートも着ないで飛だして来たから寒い。手は冷たいし、鼻は痛い…

だいたい、空澄は外にいるのかさえわからないのに…

冷静になって考えると、家に帰ってたのかもしれない!と思い直した。

来た道を戻り始めた時、今一番聞きたかった声が聞こえた。


「ももちゃんっ!?」


振り返るとコンビニの袋を下げた空澄が立っていた。

俺が口を開いた瞬間!!それは空澄によって遮られた。


「何でコート来てないの!?マフラーは??風邪引いちゃうよー!!


と、俺の心配をしてあたふたしたと思ったら、何やら名案を思いついた様な顔して駆け寄ってきた。


「はい!!」


ビニール袋から小さなペットボトルを取り出して俺の頬にあてた。


『熱っ!!』

「え?!ごめんっ!!」


俺の声に急いでおろした空澄の手を掴んだ。


『…嘘(笑)』


どうしよう、まともに顔が見れない…


『なぁ…同じなの?!』


俯きながらそう呟いた俺に空澄は一瞬悩んだ後、言葉の意味を汲み取ってくれたみたいだ。


「…うん。同じだよ。」


そう言った空澄は、いちごキャンディーを食べた時みたいに笑った。

そしてもう一言呟いた。


「すきだよ。ももちゃん。」