青田は自分の事を話し始めた。


「好きな人の話をした時に意地張って嘘ついたの。そしたら隆平ちょっとイヤそうな顔して“頑張れ”って(笑)」

『へぇ(笑)』

「嬉しかった。ふられたって言えば好きって言ってくれるかな??って…でも、本気で怒って相手を殴りに行くって言い出して慌てて止めた事もあった(笑)」


あの頃は子供だったし、私は素直じゃないから…そんな方法でしか気をひけなかったって苦笑いした青田


「今でも素直になれない…」


そう言った瞬間だった


「りっちゃんっ!!」


隆平の声が聞こえたと思えば、隆平と空澄が駆け寄ってきた。


『お前ら携帯は?』


俺の問いかけに笑顔で2人は答えた


「忘れた!!」
「忘れちゃった!!」


そんな隆平に青田が一言


「来るのが遅いのよ!!」

「ごめんってぇ!!」


隆平はひたすら謝っていた。青田の方を見るとこちらに顔を向けたから“帰る”と口パクした。一瞬驚いた顔をしたけど小さく頷いた。


『空澄。帰るぞ!』


隆平には何も言わず空澄を連れて帰った。




「隆平、あのね‥‥」


そんな青田の声が後ろで聞こえた。

イブの奇跡が舞い降りた。