部屋につき、重たいブレザーをベッドに投げ捨てる。

それだけでスッと気持ちまで軽くなった……気がした。

適当な部屋着に着替え、ふっと一息ついてから夕飯の支度の整ったであろうリビングへ向かった。




      □
「あれ?お兄ちゃん怪我?」



「あ?」




カレーを口に運んでいた時、隣に座っていた星来が俺の肘を見ながら聞いてきた。

俺はカレーを口に入れて、肘に目を向ける。

と、一緒に肘を見た母さんが俺より先に口を開いた。




「あら、ほんと!なにしたの?」



「別になにも?」




たしかに星来の言うとおり、少し傷ができていた。

つってもかすり傷みたいな感じだからどうってことない。

おおかた…さっきの喧嘩の時、かな……

俺に怪我させるなんて、あの先輩結構やるじゃん。

のんきにそんなことを考えていたら、星来が顔を覗き込むようにして聞いてきた。




「大丈夫?」



「おー」




心配そうに聞いてくる星来にそう答えるものの、人間、気づいたら痛くなるもので。

気のせいかもしんないけど、少しだけヒリヒリしていた。


……てか、その覗き込むっつう行為の方が俺にとっては大丈夫じゃない。