少し目を見開いて星来を見ると、星来も大きな目をいつもより大きくして俺を見ていた。
「っ、星来、何してんだよ」
「いや、それあたしのセリフ……」
首を傾げる星来から目をそらし、俺は苦笑いをする。
「あー…俺は…水飲んでただけ」
「ふぅん?」
俺が苦し紛れに言い訳をすると、星来は興味なさそうに麦茶を冷蔵庫へと直した。
そして“あ”と言うと、くるりと俺に向き直る。
「お母さんがお風呂入りなさいだって」
「ん、わかった」
普通の兄妹っぽい会話をした後、星来は台所を出ていった。
………はぁ……
「心臓にわりい……」
今後もずっとこんな生活を送らなければいけないのかと思うと、気が重い。
俺は大きなため息をつきながら台所を出た。
なあ、神様
本当にいるんなら、どうして星来を俺の妹にしたんだ?
あんたがこんなことしなけりゃ俺は……苦しい思いをしなくて済んだのに。
“神様”
それは唯一、俺が悪口を言ってしまう誰より強い絶対的な存在。

