少し星来から目をそらすと、俺は気持ちを押し殺すべく、急いでカレーを口に入れた。
「…っ、ほひほうはま(ごちそうさま)」
突然急いで食べた俺を、星来はぽかんと見てる。
「食器は水つけといてね」
「はいはい」
いつもと変わらない調子で言う母さんに少し驚きながらも、適当に返事をする。
そして食器を持ってガタッと立ち上がり、台所へ向かった。
「……はぁ……」
台所へ行きながら漏れる深いため息。
食器を水につけ、俺は右手を閉じたり開いたりしてじっと見る。
「……いい加減にしなきゃ、な…」
特に意味のある行為でもなかったけど、なんだか心が落ち着いた俺はボソッとそう呟いた。
わかってるんだ。
妹に対して、こんな感情を持つなんていけないって。
何回この気持ちを忘れようとしただろう。
でも、そのたび思い知らされるんだ。
俺がどれだけ星来を好きかってことを。
右手を眺めたまま、そう考えていた時
「お兄ちゃん?なにしてんの?」
ぼんやり考えていた俺は、突然聞こえた星来の声にビクッとしてしまった。

