「なんかアンタが青柳のこと好きだっていう噂が立ってるよ」


友人のこの言葉から私の勘違い物語は始まった…。


「なにそれ、青柳を好きなのは梅じゃないの」

「それがさぁ、なんか勘違いしてるからさぁ…面白いじゃん」


梅と呼ばれたのは梅津加奈(うめつ かな)。彼女は青柳に片想いをしている…はず


「いやいや、こっちは面白くないし、嬉しくもないから」

「え~面白いよ~水城だからネタとしていいのよ」

「………。」


今の言葉を聞いて水城は、コイツは…と怒りを覚えた。


青柳は学校でスポーツが大好きな少年として有名だそうだ。
しかし水城からすればただの学校の生徒。クラスも一度も同じになったことはないし、第一青柳の存在を知ったのは加奈が好きだと水城に言っていたからなのだ。


「でもなんでそんな噂が立ってるのよ」

「あれじゃないの、部活の写真」


部活の写真とは水城は、報道部に所属しているからだ。
腕前はそこそこだが、一所懸命な所は誰が見ても認めるほどだ。

その時に撮った写真の中に丁度青柳が写っていたのだろう。


「それはただの偶然でしょ」

「それが、一枚だけじゃなくて何枚もあるの」

「へぇ…でもそれなら他の人も結構写ってるじゃん。山岳部の杉山とか…水泳部の真紀とか…あとは…」

「それはアンタの友人でしょうが。それにアンタは青柳の存在を知らなかったからそんな噂が立ってるのよ」

「は、知らない人と付き合うより杉山と付き合う方がいいし」

「確かに青柳より杉山とかの方が似合うね…スポーツマンと付き合うより、がり強君と付き合う方が似合うよ」


加奈は水城の発言に納得した。