初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

 軽い気持ち――たしかに、そうかもしれないけれど。

 でも、あたしの心の中で「軽い気持ちにしたくない」って思う部分がある。

 どうして……かな……?

 シンさんのことを考えると、どうしてもそんな「軽く」っていうのが、嫌だと思ってしまう。

 けど――シンさんは「軽く」と思っているかもしれない。

 マコが言ってくれたように「近くのお店で軽くお茶をするだけ」って考えているだろうし、あたしだってそれ以上のことをされても困ると思う。

 お茶以外に、なにかちょっとした品物をプレゼントをされたり、とか……

 困る、っていうより、戸惑っちゃう――かな?

 ……でもまぁ、さすがに忘れ物を届けたくらいじゃ、そんなことまではしないよね。

 ――まるで、そうなることを望んでるみたいで……恥ずかしいよ。

 ちょっと考えすぎたあたしは、こっそりと心の中で苦笑した。

「ま、どっちでもいいって言われてるんでしょ? もう少し考えてみて、ないなーって思ったら、スルーでいいじゃん」

 考え込む必要はないよ、って言うと、マコはぽん、とあたしの肩に手を乗せて笑う。

「――うん、そうだね……」

 色んなことを考えつつも――その言葉にこくんと頷いてみせた。