なんとか胸の鼓動を落ち着け、その後も何事もなくあたしは仕事をこなす。
夕方を過ぎるとお客さんはぐっと少なくなるから、やることと言えば、食器やコーヒーメーカーや紅茶のポットなんかを整理したり明日のために準備したりするのが主な仕事。
もちろん、お客さんが全くいないわけじゃないから、接客も並行。
お店の外の景色が夕焼け色からすっかりと暗くなったころ、ふわり、とあの席が動いた。
シンさんと真治さんが立ち上がる。
「レジ、行ってきます」
控えのカウンターにいたあたしは、隣の茜さんに小声でそう伝えると、急いでレジに向かう。
「はい、伝票」
伝票と一緒にポイントカードを差し出してくれるこの流れも、すっかりと慣れた様子のシンさん。
「ありがとうございます」
いつものように伝票とカードを受け取るあたし。
そのときにかすかに触れるシンさんの指先に、いつも少しだけ胸が鳴る。
けれど、それを悟られないようにしながら、あたしはいつも通りを装ってお会計をするようにしていた。
じゃないと、きっと首まで真っ赤になりそうだから。
それに――今のあたしは、メイドさんだし。
夕方を過ぎるとお客さんはぐっと少なくなるから、やることと言えば、食器やコーヒーメーカーや紅茶のポットなんかを整理したり明日のために準備したりするのが主な仕事。
もちろん、お客さんが全くいないわけじゃないから、接客も並行。
お店の外の景色が夕焼け色からすっかりと暗くなったころ、ふわり、とあの席が動いた。
シンさんと真治さんが立ち上がる。
「レジ、行ってきます」
控えのカウンターにいたあたしは、隣の茜さんに小声でそう伝えると、急いでレジに向かう。
「はい、伝票」
伝票と一緒にポイントカードを差し出してくれるこの流れも、すっかりと慣れた様子のシンさん。
「ありがとうございます」
いつものように伝票とカードを受け取るあたし。
そのときにかすかに触れるシンさんの指先に、いつも少しだけ胸が鳴る。
けれど、それを悟られないようにしながら、あたしはいつも通りを装ってお会計をするようにしていた。
じゃないと、きっと首まで真っ赤になりそうだから。
それに――今のあたしは、メイドさんだし。

