初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

 お店にいるときの温かい笑顔や、この前みたいな優しい笑顔じゃなく、真剣に書類と向き合っている真面目な表情。

 お仕事をしているときのシンさんを垣間見れた気がした。

 何を話しているのかは分からないけれど……でも、きっと大切な話なんだろうって感じる。

 ……ひょっとしたら、シンさんはすごく優秀なビジネスマンなのかもしれない。

 そんなことを思いながら、あたしは早くなる胸の鼓動を抑えることが出来なかった。

 周りに聞こえるんじゃないかって言うくらい鼓動が大きくなって……でも、止められなくて。

 そして視線はシンさんに釘付け。

「……」

 そんなあたしの視線を感じたのかは分からないけれど。

 ふ、とシンさんの目が書類からずれる。

 ずれた視線の先には――あたしの視線。

「っ!」

 無防備なあたしは、そのまま思いっきり視線をぶつからせてしまう。

 ど、どうしよう……ぼーっとしてたから、すごく間抜けな顔を見られちゃったかも……っ!

 恥ずかしくて――でも、急に視線を逸らすことも出来なかったあたしは、そのまま、シンさんと目と目が合った状態で少し硬直していた。