初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

 お昼からのバイトは、最初からフル稼働。

 一息つけたのは、客足が少し緩くなる夕方を大きく過ぎてから。

 時計を見て時間を確認すると、もう5時間近くもフル稼働していた計算になる。

「ふぅ――……」

 控えのカウンターに戻ると、自然とため息がこぼれた。

「さくらちゃん」

 先にカウンターにいた茜さんが、

「休憩、入っていらっしゃい。今日もラストは2人だけだから、他の子がいる今じゃないと入れてあげられないの」

 優しい声でそう言ってくれた。

「はい、ありがとうございます」

 茜さんの好意に頭を下げて甘えることにする。

「ゆっくりしてらっしゃい」

 小さいかもしれないけれど、細やかな茜さんの配慮は本当にありがたいし、憧れの的。

 あたしも、こんな風に人を気遣えるようになりたいな――なんて思う。

 茜さんみたいな完璧なメイドさんに。

「すみません。少し、行ってきます」