初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

「お疲れ様です。さくら、入ります」

 店内に入るときのルールである挨拶をしてから、いつものようにバイトが始まる。

「さくらちゃん、お疲れ様」

 控えのカウンターでパフェを作っていた茜さんが、にっこりと声をかけてくれて挨拶してくれた。

「茜さん、お疲れ様です」

「今日も頑張りましょうね」

「はいっ!」

 いつでも茜さんは周りのメイドに気を使ってくれる優しい人。

 本当のメイドさんみたいだし、あたしだっていつかは茜さんみたいになりたいな――

 そんなことを思いながら、あたしも控えのカウンターで仕事を始める。

「……」

 シンさん――今日は来てくれるのかな……?

 来てくれたら……って、ダメダメ――今は仕事に集中しなきゃ。

 チリリーン――……

「お帰りなさいませ、ご主人様」

 シンさんのことを考えていた気持ちを軽く戒め、気持ちを仕事にむけつつ、来客を告げるベルが鳴った入口に、すぐさまカウンターから出てお出迎えしていった。