初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

 どうしてあたしはシンさんの前で、こんなにどきどきしているんだろう。

 今までのお客さんやタクミになら、心臓が早くなるなんてことはないのに。

 きっと、あたしが初めて接するタイプの人だからかな?

 紳士的で優しくて、それでいて温かくて朗らかな人。

 シンさんみたいな人に出会うのって、本当に初めてだし、それに……

 ――それに?

 え……あたし、なにかそれ以外にも感じてる?

 心の奥にぽつんとあるこの気持ちって……?

 なんだろう……分かんないけどすっごく恥ずかしい……っ!

「あ、ありがとうございます――……」

 思わず赤くなりそうな顔を必死に抑えつつ、どうしようかもじもじ考えていると、もうすぐバイトの時間だったことを思い出す。

「あっ! もう行かなきゃ――」

 腕時計を見て、慌てて時間を確認。

 まだ少し余裕はあるけど、油断は出来ない時間。

 新学期のためにも、春休み中は頑張らなきゃいけないっていうのに。

「あ、あのっ……ごめんなさいっ! もうすぐバイトが始まっちゃうので……」

 さっきまでの気持ちにプラスされた時間の焦りに、頭がパニックしそうになりながらも、頭を下げてシンさんにバイトの時間が迫ってることを告げた。