初恋は前途多難！ ～朗らか社会人とメイド女子高生 【１：出会い編】

「その……」

　優しい笑顔が少し崩れ、あたしから視線を逸らしたシンさん。

　急に口ごもり、考え込むように眉を寄せて口に手を持って行く。

「どうかしたんですか？」

　少し困ったような空気を感じたあたしは、小首を傾げながら、微笑んで聞いてみる。

「うん、えっと――ちょっと都合がよすぎるだろうって言われそうなことなんだけど……」

　言いにくそうにしているシンさんは、ちらり、とあたしを見ると、

「怒られるかもしれないんだけど……怒らない？」

「え……あ、はぁ……」

　曖昧なことを言われて、あたしも曖昧にしか頷けない。

「内容によりますけど……」

　たしかに、内容を教えてくれなきゃ、怒るか怒らないかはわからないよね。

「それもそうだよね」

　自分の言った言葉が曖昧でおかしかったことに気がついて苦笑したあと、うんうん、と頷いたシンさんは、意を決したように手を外してあたしを見つめると、

「その……また、お店に行ってもいい……かなぁ？」

　今度は少し気弱そうな笑顔であたしにそんなことを聞いてくれた。