「――こんにちは」
あたしが挨拶すると、シンさんもにっこり笑って挨拶を返してくれる。
ネクタイは無いけど、上品そうなジャケットを羽織った姿のシンさん。
薄いモスグリーンのジャケットが、どこか春っぽさを感じる。
「ルール違反は分かってるけど……昨日、さくらちゃんに言いそびれた言葉があるから」
だからまた待っちゃった、って、気恥ずかしそうに髪に手をやりながら、シンさんは笑う。
「あ、いえ……」
どう言っていいか分からないあたしは、曖昧な言葉で頷き、視線を伏せる。
……昨日のシンさんの悲しそうな顔を思い出したら、顔をあわせられない気持ちになってしまう。
「聞いてくれるかな?」
ここで「ダメ」って答えるのも、待っていてくれていたシンさんに悪い。
たとえルール違反だって分かっていても。
「……」
視線を伏せたまま、こくんと頷く。
「ありがとう」
あたしの耳に届くシンさんの声は、少し嬉しそうなそれ。
「……」
昨日伝えそびれたっていうシンさんの言葉を、あたしはじっと待った。
あたしが挨拶すると、シンさんもにっこり笑って挨拶を返してくれる。
ネクタイは無いけど、上品そうなジャケットを羽織った姿のシンさん。
薄いモスグリーンのジャケットが、どこか春っぽさを感じる。
「ルール違反は分かってるけど……昨日、さくらちゃんに言いそびれた言葉があるから」
だからまた待っちゃった、って、気恥ずかしそうに髪に手をやりながら、シンさんは笑う。
「あ、いえ……」
どう言っていいか分からないあたしは、曖昧な言葉で頷き、視線を伏せる。
……昨日のシンさんの悲しそうな顔を思い出したら、顔をあわせられない気持ちになってしまう。
「聞いてくれるかな?」
ここで「ダメ」って答えるのも、待っていてくれていたシンさんに悪い。
たとえルール違反だって分かっていても。
「……」
視線を伏せたまま、こくんと頷く。
「ありがとう」
あたしの耳に届くシンさんの声は、少し嬉しそうなそれ。
「……」
昨日伝えそびれたっていうシンさんの言葉を、あたしはじっと待った。

