思ったよりも寒く感じた今日。

 思わず電車を降りてから、駅中にある自販機でホットの飲み物を購入。

 選んだのは、有名メーカーが最近売り出し始めた赤い缶コーヒー。

 ミルクと砂糖がたっぷり入った甘いタイプで、結構お気に入り。

 このメーカーのコーヒー缶はお気に入りで、買うコーヒーは気分によってブラックだったり甘いやつだったりと、ころころ変えている。

 今日は寒いし今から仕事だから、ってことで、甘いのを飲みたくなった。

 少し早く着いたから、お店に着いたらロッカーのところで落ち着いて飲もうと決め、足早にお店に向かう。

 裏通りに入り、お店に向かって行くと、

「あ――……さくら、ちゃん……」

 お店の勝手口の近くの壁に、もたれるようにして待っていた人物。

 シンさん――……

 先にあたしを見つけ、声をかけられてあたしが気がつく。

「あ……」

 なんて言って、どんな顔をしたらいいんだろう。

 瞬間、あたしの頭は真っ白になって、

「あの――こ、こんにちはっ」

 出てきた言葉は、多分1番無難でシンプルな挨拶だった。