「――」
シンさんが言葉を出しかけたそのとき、
「さつき!」
後ろから声がかかる。
鋭く警戒するような、強くて怖い声。
聞きなれた声なのに、違う人のように感じる。
「大丈夫かっ?」
あたしの腕を後ろからしっかりと掴んだのは、タクミ。
変装用の黒縁眼鏡をかけたタクミは、あたしの横にやってきて険しい表情で顔を覗き込んできた。
「タクミ――」
「行こう」
小さく囁くように言って、掴んだ腕を引っ張る。
「あ……っ」
タクミの強い力に引っ張られるように、あたしはバランスを崩しながらもよろよろと歩き出す。
「――……」
タクミに引っ張られながら。
引っ張られる方向に体を向ける瞬間、悲しい顔を見せながら何かを言いたそうに片手を伸ばしかけて止めたシンさんが、あたしの脳裏に焼きついた。
シンさんが言葉を出しかけたそのとき、
「さつき!」
後ろから声がかかる。
鋭く警戒するような、強くて怖い声。
聞きなれた声なのに、違う人のように感じる。
「大丈夫かっ?」
あたしの腕を後ろからしっかりと掴んだのは、タクミ。
変装用の黒縁眼鏡をかけたタクミは、あたしの横にやってきて険しい表情で顔を覗き込んできた。
「タクミ――」
「行こう」
小さく囁くように言って、掴んだ腕を引っ張る。
「あ……っ」
タクミの強い力に引っ張られるように、あたしはバランスを崩しながらもよろよろと歩き出す。
「――……」
タクミに引っ張られながら。
引っ張られる方向に体を向ける瞬間、悲しい顔を見せながら何かを言いたそうに片手を伸ばしかけて止めたシンさんが、あたしの脳裏に焼きついた。

