初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

 あたしのところにやってきたのは、シンさん1人。

 あ、真治さんはいないんだ――別れたあと?

 ……って、そんなことを考えてる場合じゃない。

「お仕事、終わり?」

 あたしを真っ直ぐ見つめたまま、シンさんはにこにことそう聞いてくる。

「あ、はい――」

 なんとか1つだけ頷く。

「あのドアから出てきたね。お店の勝手口はあそこなんだ?」

「え、えと……」

 指差されたドアは、確かにお店の従業員の出入り口。

 別に見られても困ったことはないんだけど――

「ここ、お店の裏だから――待てば、いつかさくらちゃんが来るかなって思ってたんだ」

「あ――……」

 その表情に他意はないように見える。

 でも。

「あの、ごめんなさい……」

 あたしは思わず困った顔になり、頭を下げた。

「うちのお店では、そういった待つこととか――」