初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

「あ……」

 驚いてあたしは振り返った格好のまま硬直。

「あぁ、やっぱりさくらちゃんだ」

 シンさんはさっきと変わらない笑顔でにこにことあたしの前までやって来た。

「こ、こんにちは――」

 ちゃんと向き直り、シンさんと向かい合うと、ぺこりと頭を下げて挨拶。

「……」

 席に案内したり、レジのときくらいしか向き合うことってないんだけど。

 ぼんやりとした気持ちで長身だなぁって思っていたけど……こんなに間近で向かい合うと、本当に背が高いんだなって思う。

 あたしも160cmあるから、女の子の中では決して低くはないけれど、そんなあたしが見上げちゃうくらいだから、きっとかなりのもの。

 まっすぐあたしを見つめるシンさん。

 あたしも思わず見上げちゃってる。

「……」

 吸い込まれるような目――やっぱり、不思議な魅力があるように思う。

 優しそうに少したれ気味の、穏やかな雰囲気の目。

 他のメイドの子が言うような「イケメン」っていうよりも、なんだかあたしはちょっと「可愛い」って思った。

 うん、確かに「イケメン」で「格好いい」って思った上での「可愛い」で、なんて言えばいいのか分からないけど――男性的な可愛さ?