初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

「お会計、お願いできるかな?」

 パフェを平らげてからしばらくあたしのことを眺めたあと、シンさんは真治さんと一緒にレジに来てくれる。

 この前と同じ――伝票はシンさんで、お会計は一緒。

「あ、スタンプカードは今渡せば良いのかな?」

 シンさんは思い出したようにお財布から丁寧にスタンプカードを取り出し、あたしに差し出してくれる。

「はい、ありがとうございます」

 それを受け取るあたし。

「……」

 小さいカードだから、受け取るときに一瞬だけ――指が触れる。

 男の人っぽい、少し硬い感触のする指。

 何事も無いようにカードを開いてスタンプを押したけど。

 触れた指には、いつまでもその「一瞬の感触」が残っていた。

「――はい、お返しいたしますね。またご帰宅下さいませ」

「ありがとう。――また帰ってくるよ」

 差し出したカードを受け取って財布に戻してくれると、シンさんはあたしの顔をじっと見て、

「ねぇ。きみの名前――なんていうの?」

「え――?」

 不意の質問に、あたしは一瞬きょとんとして、戸惑った。