初恋は前途多難！ ～朗らか社会人とメイド女子高生 【１：出会い編】

「お待たせいたしました」

　まず持っていったのは、普通のコーヒーとお絵かきオムライス。

　コーヒーを冷静な人の前に置き、続いてオムライスを子供っぽい人の前へ。

「ありがとう」

「わぁ、美味しそうだね。ありがとう」

「それから――」

　お絵かきオムライスは、普通のオムライスの上にケチャップでメイドがお客さんのリクエストの絵や文字を書くというもの。

　オムライスを置いたあとで、一緒に持ってきたケチャップを手にし、

「こちら、ケチャップでオムライスの上に色々と書かせていただくのですが、ご主人様のリクエストはございますか？」

　笑顔で子供っぽい人にそう聞く。

「うーん、そうだなぁ……」

　うきうきした表情であたしがオムライスを持ってくるのを眺めていたその人は、嬉しそうに考え込んだあと、

「ぼくを見て、きみがイメージしたものでお願いします」

　あたしの顔を見上げ、そんなリクエストをしてくれる。

　その目には、嬉しさの中にまた何か違う別の「気持ち」が見えているような、吸い込まれるような深い目に見えた気がした。

「はい、かしこまりました。そうですね――……」

　メイドのお任せ、っていうのも少なくはないから、あたしは笑顔のままでじっと子供っぽい人の顔を見つめ、考えていく。