何とかしなきゃ……っ!

「シンさんは悪くないんです。――だから、そんなに自分を責めないで下さい」

 思わず自分の手をぎゅっと握り締め、一呼吸置く。

「あたしのことを考えて、連れて来てくれたんですから……」

 きっと、本当にここのお店につれてきた言って思ってくれたんだと思う。

 その気持ちが――嬉しい。

「っ――」

 そ、と。

 意を決して、じっと携帯を持っているシンさんの顔を見つめる。

 真っ直ぐ見つめるのは、すごく恥ずかしい――けど、シンさんの表情を曇らせたくないし、その気持ちを無下にしたくない。

「さつきちゃん……」

 あたしが真面目な顔で見つめているからか、シンさんもあたしの顔を見つめ返してくれる。

「せっかくですから、シンさんさえよければ、その……ここのお店に案内してもらえますか……?」

 シンさんが「ここ」って決めてくれていたのなら、その気持ちを優先したい。

「……いいの?」

 心配そうにじっとあたしを見つめてくれる不安げな顔。

「はい」

 そこでにっこり笑って大きく頷くと、

「ありがとう。喜んでっ!」

 途端にシンさんも嬉しそうに笑って大きく頷き、

「あ、ちょっとそこで待ってて!」

 急いで運転席から出たと思ったら、

「よかったら……ぼくにエスコートをさせてくれませんか? さつきちゃん」

 助手席へ回り、あたしのドアを開けてくれながら、シンさんは優しくそっと手を差し伸べてくれる。

「……はい――」

 少し恥ずかしかったけど、こくんと頷き――あたしは、その手にそっと自分の手を乗せた。