「ホ、ホテ、ホテ……っ」

　ここが帝宮ホテル。

　日本で１番のホテル――

　そこに「さも当然」という風に連れて来てくれたシンさんにも驚いたけれど。

　でも！

　それ以前にあたしの思考回路では色々とついていけそうにないことが山積みだった。

　お昼を食べる、って事だったよね……？

　なのに、どうして日本で１番のホテルに？

　こ、これって、ひょっとして、その、あの、あのあの――っ？

　オーバーヒートした頭が考えることを放棄しかけたけど、何とか考える努力をする。

　……でも、答えを出せない。

「あ、あの……し、シンさん……」

「うん？　どうかしたのかな？」

　戸惑うあたしを不思議そうに見つめてくるシンさんに、口をぱくぱくさせながら、

「その、あの……ほ、ホテル、って、その――……」

「え？　――あ、さつきちゃん、もしかして……？」

　ようやくあたしの状態と言いたいことを察してくれたらしいシンさんは、心配そうな顔から不意に慌てふためいたような表情へと変わった。