初恋は前途多難！ ～朗らか社会人とメイド女子高生 【１：出会い編】

「あの……ここは？」

　地下駐車場を見渡しても何の情報も得られないことは分かっているけれど。

　それでも思わず辺りを見渡しながら、あたしは疑問を口にする。

「さつきちゃん――帝宮ホテルって知ってるかな？」

「はい、名前程度なら……」

　帝宮ホテル、って言えば、日本で１番の最高級のホテル……だったはず。

　確か、１泊が最低８万円からで、スイートになると数十万とか……

　そんな情報をテレビで前に見たことがあったはず。

「日本で１番の高級ホテルですよね？　帝宮ホテルって」

「うん。そうだよ」

「それが、こことどういった関係があるんですか？」

「ここが帝宮ホテルだよ」

　帝宮ホテルの地下駐車場だよ、と、シンさんがにべもなくそう言う。

　ここ、が……帝宮……？

「……」

　一瞬、言われている意味が理解できなかったあたし。

「……えぇぇぇっ？」

　３秒経ってようやく理解できると、思わず車内ではしたないくらいの声をあげてしまった。