初恋は前途多難！ ～朗らか社会人とメイド女子高生 【１：出会い編】

　向かう先には、地下駐車場の入口と自動発券機。

　迷いなくシンさんは徐行運転で発券機のそばまでやってくると、窓を開けて駐車券を発行。

　それを受け取って、運転席の上部にあるサンバイザーの切れ込みにすっと駐車券を差し込む。

　ここはどこの駐車場なのかな……？

　やって来た駐車場は広く、わりと空いている。

「んー、週末だから混んでるかなって思ったけど、大丈夫みたいだね」

　独り言のように呟くシンさんは、ゆっくりとした速度で辺りを見渡しながら駐車場を進んで行く。

　あたしはここがどこか分からないから、混み具合とかは分からないけど……

「あ、いいところに場所があった」

　しばらくきょろきょろと辺りを見渡していたシンさんは、めぼしい場所が見つかったのか、嬉しそうにそう呟くと、ゆっくりとハンドルをきって向かって行く。

　出入り口と思われるエレベーター近くにスペースが空いていたのを見つけたらしく、シンさんはそこに駐車した。

　ゆっくりとした慎重な運転で駐車すると、キーを回してエンジンを停める。

「はい、到着」

　にこやかな笑顔で「お疲れ様」って言ってくれると、シンさんはゆっくりとキーを抜き取り、ジャケットの内ポケットへとしまった。