『目的地に到着いたしました。ナビゲーションを終了いたします――』

「……あ、ようやく着いたよ」

　シンさんの言葉を受け、あたしが思考の海に飛び込みかけたそのとき、カーナビの機械的な人工音声が目的地の到着を告げる。

　場所を確認するように体を前へ寄せて辺りを見渡していたシンさんも、目指していた場所だということを確認すると、

「思ったよりも時間がかかってごめんね。――体、辛くない？」

　あたしの方を向き、体を気遣ってくれた。

「はい、大丈夫です」

　にっこりと笑って答えてから、ふかふかのシートのおかげでほとんどストレスがかからずにやって来れたことを実感。

　ずっと同じ体勢でいたのに、苦痛じゃない。

　それどころか、体がとてもリラックスできているのを感じる。

　むしろ、まだまだこのふわふわのシートの感触を楽しんでいたいとさえ思ってしまうほど。

　そう思えるって、やっぱり普通のシートじゃそうはいかないと思う。

　これが電車とかだったら、お尻や背中が辛くて仕方がないのに――

　やっぱり高級な仕様は一味も二味も違うのね……

　妙なところで納得していると、車はゆっくりとある敷地の中へと入っていった。