落ち着かない生活をしながらも、とうとうその日が前日に迫ってくる。

 気にしないように意識していたけど――やっぱり無理。

 緊張するし、色々と考えてしまう。

 どんな服にしよう? とか、どんなことを言えばいいんだろう? とか。

 一応、明日の服のコーディネイトは決めている。

 今日、バイトに行く前にちらっと見たテレビの天気予報では、少し寒くなるって言っていたから、春物でも少し温かいものにしようって決めていた。

「……」

 明日のことをちらちらと考えながらも、今日も学校が終わってからラストまでバイト。

 ラストの日は、大抵あたしと茜さんのペアになることが多い。

 お客さんのピークが過ぎるまではメイドの子がたくさんいるけれど、ピークが過ぎれば本当にお客さんがいなくなるから、2人でも充分に大丈夫。

 2人になったら、後はクローズにむけて比較的ゆっくりで緩やかな時間のなかでクローズの作業をするのが、いつものラスト時の勤務だった。

「さくらちゃん、カウンターの中をお願いね」

「はいっ」

 用事でキッチンのほうに行ってしまう茜さんの指示に従い、クローズのために綺麗に洗われた食器を棚におさめたり、明日のためにコーヒー豆や紅茶の茶葉を補充するのが、カウンターでのクローズの作業。

 まずはコーヒー豆を補充するため、カウンターの下にあるコーヒー豆の缶を取るために屈もうとした瞬間――