会う約束をしたあとは、なんだか余計に意識しちゃって……シンさんの前ではすごくぎこちなくなってしまう。

　それじゃいけないって思うんだけど……でも、あたしの鼓動は静かになってくれなくて。

　朗らかなシンさんの微笑みを見るたび、鼓動が暴れだす。

　すぐに帰ってしまうのが、寂しくもあり、救いでもある気がする。

「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

　お会計の終わったシンさんと真治さんを見送ったあと、残った食器やカップを下げるため、銀の丸トレイを持ってテーブルに戻っていく。

　コーヒーカップ２客、お絵かきオムライスのために少し大きく作られている中皿と、背の高いパフェグラス。

「――」

　パフェグラスをトレイに乗せるとき、ふ、とシンさんを思い出す。

　シンさんのためのパフェを作るときは、必ず１口サイズの星型のチョコを乗せる――あたししか知らない、秘密のトッピング。

　パフェを運んだあと、あたしはさり気なくシンさんの様子を眺め、嬉しそうに真っ先にそのチョコを口にしてくれているのを見て、心の中でこっそり喜ぶのがあたしの密かな楽しみ。

　今日のシンさんも、真っ先に嬉しそうにチョコを食べてくれていたっけ。

　……そのシンさんと、もうすぐ会っちゃうのよね――……

「……」

　そう思うと、またあたしの心臓は大きく跳ね、暴れだした。