初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】

『――迷惑……だったかな?』

 すると、携帯の向こうから静かなシンさんの声が聞こえてくる。

 あ……落ち込ませちゃった――そうじゃないって言わなきゃ……っ!

「あの、そうじゃないんですっ!」

 かといって、考えがあるわけじゃないけれど。

 でも、シンさんを傷つけたくない一心で、あたしは言葉を続ける。

「迷惑とか、そんなことは思っていないんです。その……あたし、お礼がしたいって言われて、番号を貰うのって初めてだったんです。ですからどうしたらいいんだろうってずっと考えていて……それで、連絡するのが遅くなっちゃったんです」

 ドキドキして仕方なかった。

 だって――携帯の番号って、シンさんのすごくプライベートな事のひとつだと思うし。

『そっか――』

 すると、シンさんの声がまた少し柔らかくなって、

『とても勇気を出してくれたんだね。――ごめんね、でもありがとう。ぼく、すごく嬉しいよ』

 優しい声があたしの胸に響く。

 あぁ――きっと今、携帯の向こうでシンさんがいつものように「温かい微笑み」を見せてくれながら喋っているのが想像できる。

 それが手に取るように分かるくらい、今のシンさんの声はすごく嬉しそうだった。