特別な気持ちを抱いていたとしても。

 それとバイトはまた別の話。

 ――そう思っていたけれど。

 頭と心のバランスが上手く取れないって分かったのは、メモを貰ってから1週間経ってから。

 ……あの日以降、シンさんがお店に来なくなった。

 仕事が忙しいのかな? と思っていたけれど、あのメモを貰ってから……っていうのが、あたしの心に引っ掛かりを持たせる。

 あたしが連絡しないから、来なくなった……とか?

 番号のメモはアパートの部屋のテーブルに置いてある。

 やっぱり、未だに電話はなんとなくかけにくくて……そのまま。

 そうやって電話をかけないままだったから――シンさん、来なくなったのかな?

 社会人なんだから、そうじゃなくて仕事が忙しいんだと思いたいけれど。

「……」

 いつもシンさんを案内していたあの席を眺めながら、あたしは少し暗澹とした思いに支配されていた。

 ……きっと、明日は来てくれるよね。

 そう思ってバイトをしていたけれど。

 そこからさらに3日を過ぎても――シンさんはお店には現れてくれなかった。