チリリーン――……
「お帰りなさいませ、ご主人様」
――今日は、何度期待をもって入口のベルに反応したのかな?
「こんにちは、さくらちゃん。自分、また今日も来ました」
期待を持って見るそこには、あたしの望む姿はなくて。
「連日のご帰宅ありがとうございます、ご主人様」
今度こそ――と思って振り向いた今回も、別の常連の大山さんだった。
「今日はなんだか元気がないみたいですけど」
席に着くなり、あたしのほうをちらりと見てそう言う大山さん。
毎回、なんとなくあたしに対する観察案は鋭い。
「そんなことないですよ。ご主人様がご帰宅下さって嬉しいんですから」
にっこりといつもの体裁を繕い、あたしは何事もなかったかのようにお冷とおしぼりを差し出し、注文を聞く。
「ふぅん、まぁいいですけど」
あたしがそう答えると、大山さんは少し不満そうな表情をしながらもいつものメニューを注文。
そんな大山さんを気にすることもなく、いつものようにオーダーを受ける。
……シンさん以外の人だったら、こうしてちゃんと仕事が出来るのに。
どうして、あたしはシンさんだといつも通りにできないんだろう。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
――今日は、何度期待をもって入口のベルに反応したのかな?
「こんにちは、さくらちゃん。自分、また今日も来ました」
期待を持って見るそこには、あたしの望む姿はなくて。
「連日のご帰宅ありがとうございます、ご主人様」
今度こそ――と思って振り向いた今回も、別の常連の大山さんだった。
「今日はなんだか元気がないみたいですけど」
席に着くなり、あたしのほうをちらりと見てそう言う大山さん。
毎回、なんとなくあたしに対する観察案は鋭い。
「そんなことないですよ。ご主人様がご帰宅下さって嬉しいんですから」
にっこりといつもの体裁を繕い、あたしは何事もなかったかのようにお冷とおしぼりを差し出し、注文を聞く。
「ふぅん、まぁいいですけど」
あたしがそう答えると、大山さんは少し不満そうな表情をしながらもいつものメニューを注文。
そんな大山さんを気にすることもなく、いつものようにオーダーを受ける。
……シンさん以外の人だったら、こうしてちゃんと仕事が出来るのに。
どうして、あたしはシンさんだといつも通りにできないんだろう。

