「勝てるって何のこと!?」



 橘さんが急に立ち上がってさっきの男の人に尋ねた。



「いや…彼氏がいけそうだったら、優枝ちゃん奪ってやろうと思って」

「彼氏!? さっき優枝ちゃんフリーって言ってたけど」

「フリーじゃねぇよ?」



 2人で何か話してる。



「優枝、またバカなこと言ったんじゃねぇのか?」

「何が?」

「フリー? って聞かれた?」

「うん…違うっていったよ?」

「それだな」


 苦笑いをすると蓮は橘君に向かって言った。



「悪いけどさ、優枝はフリーじゃねぇから。俺が彼氏。そうだろ? 優枝?」

「…うん」


 蓮は私の大好きな彼氏。


「優枝はフリーって意味を普通に訳して…『自由』にしたんだ。 俺、別に束縛とかしてねぇし…だからそう言ったんだよ」


「…スバ抜けて…天然ってこと?」

「あぁ。バカなんだ」

「そーいうことか…つまんね。ホラ、さっさと帰れ」



 しっしと橘さんに手を振られる。



「塚本―? いるんだろ? 俺、サイフ忘れた。適当に出しておいて」

 蓮がそう言うとガチャッと塚本さんが入ってきた。