「…そう……名前もわかんねぇんだろ?」

「…うん」

「どうしようもねぇじゃねーか…」




 怖い……。




 私の身にはいつ何が起きてもおかしくない現状に生まれてきてる。




 それなりの覚悟はあったけど…またそれとは別。




 相手に私が笠見財閥の娘だってばれているかはわからない。




 すごく重要なことなのに…それさえ考えることのできなかった私に自分でため息をつく。



「優枝…怖かっただろ…?」

「……」

「悪かったな。辛い思いさせて…帰ろ?」




 蓮の優しさが心を痛める。





 もう…いろんな思いが混じり合って…混じり合って…わかんないよ…。



 晶は…どうしてるの?


 あの人って誰…?


 ストーカー…は何のため?