「そんなのやってないってばっ!!」



 愛斗君が蓮に向かって何かを訴えてる。



「優枝…」



 私に気付いたのか、一斉にこっちへ顔を向ける2人。




「蓮。愛斗君は何もやってない…」

「え…?」

「聞いちゃった…。5組のクラスで女の子たちが話してるところ」

「なんて言ってた?」

「夏川がやってると思ってるっぽいし、潰すなら今のうち…って」




 自分でさっきあったことを思い出すだけ…なのにね。




 拭ったはずの涙がぶり返す。



「私、やってないって言ったんだけど!!」

「ごめんね…愛斗君…」


「愛斗とか言わないで!! 愛にしてよ」

「あっ、ごめ…」





 
「まぁ…私も疑われるようなことしたんだし…お互い様じゃない?」

「いい加減なこと言うなよ。 こっちはどんだけ苦労したと…優枝はぶっ倒れるし…夏川は男だとか言いだすし…」




 頭を抱えて蓮が唸りだした。



「悪かったわね~。男で!! 心は優枝ちゃんなんかより乙女よっ!!」