完璧男子

　はぃ…?



「夏川さん…私を悪く言うのは許します。でも…夕菜ちゃんを悪く言うなんて許さないですよ?」

「許さない?　何をしようって言うの?　あんたは私に何一つ敵わないじゃないの?」





　ちらっと夕菜ちゃんを見るとぽろぽろと大きな雫を瞳から流していた。





「敵わないかもしれない、でも…あなたは許しません!!　私の大切な親友を悪く言わないでください!!」



　私もあふれる涙を必死に止めようとしながら言う。



「何、友情ごっこ?　それより、そこのデブは物好きな彼氏でも探したら?　浮気相手ぐらいにならなってもらえるんじゃない?」



　次々と悲惨な言葉を発する夏川さん。





　私はすぐにケータイをだして発信ボタンを押した。



「蓮君でも呼び出す気?」

「…違います」

「嘘つくなよ。　この状況で呼ぶとしたら蓮君しかいないでしょう?　私に蓮君をくれるの?」




　クスクスと笑う。