「果菜実さん……果菜実さんが蓮をひっぱりまわしても…蓮はもちろん、果菜実さんも幸せになれないですよ…?」


「そんなはずないわ!!」


「幸せになるにはね? 相手の気持ちもちゃんと考えないと幸せになれないの。お互いに相手の気持ちを考え合うのが幸せへの鍵じゃないかな…?」



「……」



「図々しいこと言ってごめんなさい…」



「優枝は間違ってないから大丈夫」

「ん…」





 どんどんと曇って行く果菜実さんの顔。




「失礼するわ。 二度と私の前に顔を見せないで。」




 同じ学校だもん…席後ろだし…。





「…でも…ありがとう。 蓮様より素敵な男性を必ず探し出すわ。 …転校するわ」

「あ…最後に教えてもらっていいですか?」

「何?」

「果菜実さんの部屋にあった囲碁のホントか…ジャージとか…あれ…果菜実さんのですか?」


 空気の読めない私は最後にそんなことを聞いた。


「なっ、なんですの!? あ…あれは…お父様の趣味でっ…」





 それだけ言って車にあわててのった果菜実さん。


 ジャージが果菜実さんのお父さんの趣味…?


 良くわかんない。




「優枝様、蓮様。感謝します。 うちとの取引もよろしくお願いしますね」



 サングラスの人はにこっと笑って運転席に入った。