「…優枝…?」


 私の声が聞こえたのかこっちを向いた蓮。




「蓮」




 また出た。




「優枝」


「…?」


「声出たんだ?」

「今ね」

「俺がキスしたから?」

「そうかもね。」

「…いや…だったよな?」




 いや…?




 そんなわけないよ。





「王子様のキスは必要!! キスで声が出るようになるなんておとぎ話みたい」

「クスッ…そうだな…」




 どっちもあやまりはしない。



 だって、どっちも悪くないもん。




 でも、このフインキは好きだよ。




 優しく笑う蓮は好き。