完璧男子

 果菜実さんは空いていた私の後ろに座った。



「あら、優枝さん。 よろしくね?」

「……」


 ちょっと引きつった顔を必死に笑顔にして果菜実さんを見た。


「先生に聞きましたわよ? お声が出なくなったんですってね?」


 クスクスと笑う果菜実さんを無視してもう一度前を見る。



「じゃー、ホームルーム終わり!!」


 先生が出ていくと教室は静まり返った。






「優枝ちゃんー!! お帰りー!!」

「笠間、声が出なくてもいっぱい話そうな?」

「勉強教えてくれるんだろ?」

「やっぱり可愛い―ね♪」



 みんなが私の周りに集まってきてくれた。




 私は鞄から塚本さんに渡されたスケッチブックを取り出した。



『ありがとう。 私もいっぱいしゃべりたい』



 と書いてみんなに見せた。