【物語り 第1段 】



「やばいぃ〜♪今日もカッコいいよ…先輩…」



『キモッ…頭大丈夫?』



「ひどいなぁ…先輩…優しいんだ〜♪」



そう―― あれは…あのトキ…




「あっ!?雨…降ってるよ?」


『うわ〜!!マジだ…!』

私…傘持ってきてないんだよね…



「ねぇ…傘入れ『ゴメンっ!!今日、彼氏とデートなんだぁ!先行くねっ!』」


彼氏と…デート!?


『じゃねっ!!』


あっ!!傘をさして行ってしまった…!?



…どうしよう…


走って帰ろうかな?


ずぶ濡れ確定だけど。

『君…どうしたの?』


えっ!? 肩をトントンされたので…ビビる。



「えっと…傘を忘れてしまって…」


うぅ…恥ずかしいよ…



『傘…?』



…ハイ。


『はい。これ。』



えっ!?


先輩は傘を差し出す。


「えっ?」



『これ。使っていいよ?』

えっ!? 何と優しいんだ?


でも…

「先輩が濡れちゃいますよ…」


『えっ!? あっ…大丈夫大丈夫♪もう1個持ってるんだよね…!』



あっ!!
そうなんですかっ?