「ふえっ?!」


私は莉奈に呆れたように言われ、変な声が出てしまった。


な、なんでわかったの?!


私、そんなに表情に出してた??


「はぁ……陽菜、私は涼君一筋だから。浮気なんてしないわよ。しかも、学校一のモテ男となんか……有り得ないから」


莉奈は恥ずかしげも無くそう言ってのけると、お弁当箱を袋にいれて立ち上がった。


私も慌ててお弁当箱を片付けて、同じように立ち上がる。


「まぁ、相手が誰であろうと、陽菜の初恋だもんね。親友として、協力するわ」


莉奈は屋上の扉に手をかけ、私を振り返ってにっこり笑って言った。


その優しげな笑顔は莉奈の一番のチャームポイントだと思う。


愛らしい笑顔で嬉しい事を言われたら……


私は涙腺が崩壊寸前で…勢い良く莉奈に抱き着いた。


「ぅわっ!」


莉奈はフラつきながらもしっかりと受け止めてくれた。


私の頭を撫でながら、ギューッて抱きしめ返してくれる今の莉奈には、悪魔の要素なんて一欠けらもなかった。


「ありがと、莉奈……」


「もう…陽菜ったら……本当、可愛いんだから」


「ううん、莉奈の方が可愛いもん…。私、莉奈が親友でいてくれて、本当によかった…」


「何よ、改まって……。くすぐったいじゃない」


私と莉奈はしばらく抱き合ってて、予鈴が鳴り、やっと離れた。


それから二人で笑い合いながら教室に戻った。




 ― ― ― ― ― ― ― 




「ただいまぁ」


「お邪魔しまぁす♪」


「あら、莉奈ちゃん。いらっしゃい♪」


帰宅後。


私と莉奈は途中まで一緒に帰ってきて、いつもの曲がり角でバイバイした。



――…はずなんだけど…。