「は…吐くって……何を…?」


恐る恐る莉奈を見る。


すると莉奈はニヤリと口角を上げ、妖しく微笑んだ。


「何、ですって? そんなの、決まってるじゃない……陽菜!!」


「はっ…はひっ……」


腰に手をあて、ジリジリと詰め寄って来る莉奈はいつもと違って、目が異常に輝いている…。


しかも、とっても楽しそう…。


もしかして……
莉奈って何気にS……?


うわぁ……有り得る…。



――…じゃなくって!!


「陽菜が一目惚れしちゃった宮田って男子についてよ!」


「ゔ……」


ひ、一目惚れって……。


確かにそうなんだけど……。


お弁当箱を片付けながら今だニヤついている莉奈は、……気のせいかも知れないけど……何故か嬉しそう。


「って言うか、あんたが惚れたのが宮田とは…」


ポツリ、と呟いた莉奈の表情が一気に曇る。


さっきまでの明るい表情なんか嘘みたいに。


思わず私まで眉間にシワを寄せてしまう。


「どうしたの…?」


「え……。どう、したの?って……あんた、知らないの?」


「何を?」


「ヤツの噂」


「噂……?」


「はぁ……本当に陽菜ってそうゆうのに疎い<ウトイ>わよね…」


そう言われてもなぁ…


「興味無いもん」


私が口を尖らせて言うと莉奈が冗談っぽく「うわっ! ブッサイク〜!」と笑った。


「宮田 遥。この学校一顔が良くて、頭も良くて、スポーツも出来るモテ男。…現在フリー」


な、


「ま、つまり。可愛い彼女募集中ってトコよね」


な、


「そー言えばアイツ、隣のクラスだったわね…」


何でそんなに詳しいのーーっ!?


莉奈、もしかしなくても結構な情報通…?


それとも……
宮田君の事、好き、なの……?


「陽菜……あんたの考えてる事、絶対違うから」